民主党政権の軸の無さがまた露呈した。新防衛大綱で武器輸出三原則の緩和を打ち出す方針であったが、社民党との連携のために後退した。政局重視で国の安全保障政策が歪められている。「方策を検討する」との文言だが、役所言葉では要するにすぐにはやらないということ。方策は検討するまでもなく明らかであるにもかかわらず。安全保障政策の根本的な問題意識を疑ってしまう。武器輸出三原則の緩和という表現だけで、「武器商人」を連想して、条件反射的にアレルギー反応を起こすのが社民党だ。驚くのはマスコミでのコメンテーターまで同じように素人そのもののコメントをすることだ。自らの不勉強を棚に上げて、あたかも武器そのものが輸出されるかのごとくにコメントしている。
現在、武器の開発は巨額なプロジェクトであるため、国際共同開発となることが多い。しかし、武器輸出三原則を機械的に適用すると、このような国際共同開発に参加することが事実上難しくなるのだ。これが現在直面している問題だ。もちろん武器そのものを輸出は抑制しなければならない。そのことと国際共同開発への参加は全く別問題だ。自らの安全保障のために必要な能動的政策なのだ。
そのような安全保障の現実を無視した、単純な素人論議が国の安全保障の根幹を揺るがしかねない。平和国家を標榜することは、自らの安全保障を確固たるものとする裏付けがあってこそ意味があるのだ。